「朝礼だけの学校」では、生徒はみな先生であり、先生も学び続ける生徒です。今日は隈研吾さん https://kkaa.co.jp/ をゲストにお迎えしています。隈研吾という世界的な建築家がいかに成り立ったか、をインタビューします。
    私と隈さんとの出会いは30年ほど前に遡ります。その出会いから取材をスタート。その頃、隈さんは『10宅論―10種類の日本人が住む10種類の住宅』を出版されていたのでした。
    猫好きで獣医になりたかった少年時代、1964年の東京オリンピックで丹下健三の代々木体育館を見た衝撃、黒川紀章の『メタボリズムの発想』、物凄くガッカリした1970年の大阪万博の建物ーー「生物の新陳代謝を感じられると思ったのに、機械そのものだった」と隈さん。
    国立競技場で隈研吾を知った方のために、馬頭広重美術館、根津美術館を私が紹介していきます。隈さんは「小さい建築をやっているときは楽しいですね」とおっしゃいます。7.7坪の土地で、隈さんの建築をお願いしようと試みたエピソードも紹介します。「あれは本当にちっちゃかったよね」と隈さん。
    そして、隈さんが手がけてくれた一条高校の講堂について詳しく紹介していきます。「普通の直線の木を組み合わせだけで、曲線に感じさせることに挑戦しました。すごく上手くいったと思って、自分でも気に入っている建物なんです」と隈さん。
    そして、よのなか科の授業に隈さんが登場してくれたエピソードも紹介します。「よのなか科の授業には本当に圧倒された」と隈さん。「スピード感覚がすごい。1時間くらいの授業の中で、あれだけたくさんの意見が出て、みんなが盛り上がって、みんなで一緒に創る、という気持ちになる。初めて見た。藤原さんは天才だと思った。盛り上げ方と、メディア機器を使って、テキストにして、みんなにまとめ上げさせる。魔法を見ているような気がした」と有り難い感想もいただきました。寄付を募って、市民コミュニティが隈研吾さんに依頼をする、という形をとったエピソードも紹介します。
    日本の学校建築への隈さんの願いについても伺っていきます。「日本の学校は、戦争のあとすぐに出来た基準に従って建てられているところが未だにある。学校で育った子に、建築の影響ってすごく大きいんだよね。イギリスの首相チャーチルが、『建築は人間が作るけれど、実は、建築がそのあとに人間をつくるんだ』と言っているんだけれど、学校の建築こそ、チャーチルの言葉のように、どういう子どもがそこから育つか、というところから設計して欲しいなと思うんです」と隈さん。「建築は色んな情報の集合体。いい建築を見て育つと、情報編集力も増すと思います。誇りを感じる、面白い子に育っていくはず」。
    現在手がけている、フランス・パリのサンドニ駅のお話も教えてくれます。建物の上は緑化されて公園になっていて、建物の中は木がたくさん使われる、フランスでは初の環境駅、とのことです。

    そして、今、隈さんが強い関心を示し、私も応援する「富士山登山鉄道」についてもお話を伺います。「上下水道も電気も何もない富士山5合目に年間500万人が行っていて、ものすごい環境破壊をしている。富士山に対して申し訳ない。登山鉄道でしか行けないようにして、車は原則入れないようにして、そして、登山鉄道の下に電気や下水を通せば、環境に対して優しい新しい5合目になる。これは、なんとか応援したいと思っているんですよね」と隈さん。「日本人は環境に対する取り組みで後れを取っていると言われ続けているんだけれど、富士山登山鉄道のプロジェクトをしっかりと実現したら汚名挽回にもなると思うな」。鉄道が開く富士山の未来「富士山登山鉄道構想」の動画はこちらです。是非観てください。    https://www.youtube.com/watch?v=j2KPHzNdp1A

    今日のお題は隈さんから。
    ぼくの建築で、実際に行ってみたことがあるものを教えてください。感想も是非。批判もOKです。「建築家は打たれ強くなきゃいけない仕事だからね」と隈さんは笑いながらおっしゃいました。

隈研吾解説『人生の教科書[家づくり]』(ちくま文庫/絶版・中古のみ61円より)
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家を建てたり、リフォームしたりマンションを改装する人のために、不透明な価格に切り込み「アール・ド・ヴィーヴル」な建築の知恵を満載した教科書。日本風とは何か・・・も理解できます。

YouTube「目覚まし朝礼」第165回 建築家・隈研吾からのメッセージ~住宅を買うな、住宅を建てろ
https://youtu.be/iPojD5BEtdc