書店でその本を見た時「うわっ、やられた!」と思いました。連続起業家の孫泰蔵さんの新刊『冒険の書』です。学校や教育、人間が学ぶということを根源から問い直す哲学書だと思います。



今回は、孫さんをゲストに迎えて『冒険の書』と、私が6月に上梓した『学校がウソくさい』を参照しながらお話をしていきます。実は、およそ20年ぶりにお話しします。

孫泰蔵さんは1996年、東京大学在学時にYahoo!Japan立ち上げプロジェクトに参画することをきっかけに学生起業家としてインディゴを創業、その後、様々なインターネット関連事業の立ち上げを行い、インターネットベンチャーの草分けとして活躍します。

2002年、インターネットのブロードバンド化とともにデジタルコンテンツの世界へと事業領域を広げ、日本最大級のオンラインゲーム会社ガンホー・オンライン・エンターテイメントを創業し、2005年には株式市場への上場を果たした。「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)は皆さんご存知ですよね。

その後も様々なベンチャーの創業や海外の企業との大型ジョイントベンチャーを十社以上成功させるなど、ある時は創業者、ある時は経営陣の一部として、一貫して新しいベンチャーの立ち上げに従事してきました。

2009年に「アジアにシリコンバレーのようなスタートアップのエコシステムをつくる」というビジョンを掲げ、スタートアップ・アクセラレーターであるMOVIDA JAPAN(モビーダジャパン)を創業。

2014年にはソーシャル・インパクトの創出を使命とするMistletoeをスタートさせ、世界の社会課題を解決しうるスタートアップの支援を通じて後進起業家の育成とエコシステムの発展に尽力。そして2016年、子どもに創造的な学びの環境を提供するグローバル・コミュニティであるVIVITAを創業し、良い未来をつくり出すための社会的なミッションを持つ事業を手がけるなど、その活動は多岐にわたり広がりを見せています。

そんな孫さんが書かれたのが『冒険の書』です。
「学びって本来はすごく楽しいことのはずなのに、どうして学校の勉強はつまらないのだろう?    人生は本来すごくワクワクするもののはずなのに、どうしていつも不安を感じながら生きていかなければならないのだろう?」
という疑問を自分自身に投げかけて冒険の世界に旅立つのです。

なぜ、この本を書こうと思ったのでしょうか?
エンジェル投資家として世界各地の事業やサービスに触れ続けてきた孫さんが、この数年、「魔法としか思えない。度肝を抜かれた」大変化を感じたことがきっかけでした。また、コロナ禍でステイホームを余儀なくされ、じっくり読書をする時間が生まれ、300冊ほどの本を読み漁り、自分の考えをノートに書き続けたそうです。
いつしか、若い世代にその知見を届けたくなったそうです。

『冒険の書』を一部紐解きながら、
「能力ってなんだろう?」「どうすれば成功するか?」
という疑問へ、孫さんは明快に答えていきます。

「機械やロボットを生み出すような教育は陳腐化しちゃいますよ」と孫さん。だからこそ、「私たちは何を学ぶべきか」、「人として何を磨くべきか」をアップデートしなければならない、と強く語ります。

よく観察するタイプの子どもだったという孫さん。「お前、天才ばい!」「ピカソのごたる〜!」と言われて育ったそうです。また、大きな挫折として、詐欺に遭ったときの話をしてくれました。「死んだ方がラクかな」と思う時期があったそうです。お兄さんである孫正義さん(ソフトバンク取締役会長)とのエピソードも教えてくれました。「ビジネスってのは、スーパーマリオみたいなものや」という孫正義さんの言葉が響きます。

「世界は自ら変えられる」そう孫さんは『冒険の書』で書きます。その真意を伺っていきます。
「明日死ぬとして、息子にたった一言だけ言い遺すとしたら?」と自問自答したそうです。そう考えた時に出てきた言葉。なぜ、この言葉になったのか、を教えてもらいます。

ボクが20年以上やってる「よのなか科」の教科では、「世の中を自分から主体的に動かす」ための授業をずっとやっています。『学校がウソくさい』でも詳述しましたので、ぜひ併せて読んでもらえればと思います。

本日のお題は『冒険の書』の帯にちなんで、
「好きなことだけしてちゃダメですか?」
という質問について、あなたの考えを教えてください。
孫泰蔵さんがお子さんから訊かれたら、一言で、「好きなことしかやっちゃだめ」と言うそうです。「好きじゃないことをやっても通用しない世の中になるから」。

それでは、キミにならできる!

朝日新書の大場さん(『学校がウソくさい』『60歳からの教科書』の編集者)によってサマリーが活字化され、公開されました。