名探偵のままでいて
幻視や記憶障害といった症状のレビー小体型認知症を患った祖父。でもこの祖父は古今東西のあらゆるミステリーに精通していて、孫が持ってくる数々の謎を解き明かしていく話。
幻視という見えないものが見えるという症状の活かし方、ずっと読んでいたくなるような温度感、作者のミステリーに対する愛、そしてオマージュなどが見どころの作品。特にオチは最高、読み終わったとき思わずおおー!!って唸ってしまった。
作者について触れると、ラジオ番組オールナイトニッポンの放送作家が58歳で小説デビュー。ミステリーが大好きで自分もいつか書いてみたいとずっと夢見ていたんだろうな、その夢が叶って「このミス大賞」受賞した現実こそが素敵な話だなあ。と考えてしまった。